2022年6月26日
初夏の日差しを背に私は東京ドームシティの一角、シアターGロッソの前に立っていた。
「暴太郎戦隊ドンブラザーズショー第一弾 」を観るためである。
Gロッソには今までに何度か来たことがあったが、主に番組終盤にクランクアップしたキャストが"素顔の戦士"として出演する公演が目当てだった。
人生の一部になって久しい「ミュージカルテニスの王子様」シリーズを卒業したキャストが、たまにスーパー戦隊にキャスティングされることがあったためだ。*1
しかし今回は"素顔の戦士"の出演はない。ヒーロースーツのみのショーだ。しかも神輿が出るという。
この「生神輿」に私は大いに心を掴まれた。
昨年の主役の続投や初の男性ピンクなど初の試みづくしのドンブラだが、Gロッソでも例年にないことが始まっているらしい。
それに、地元の祭りで神輿が出ない状況がここ数年ずっと続いていたので生神輿ロスでもあった。
神社の境内に飾られている神輿も厳かでかっこいいが、やはり人に担がれてこそ神輿ではなかろうか。
久しぶりに生で神輿を観られるうえに、ヒーローショーまで観られるということで私の心は踊りに踊った。
番組では全身をCGで表現されているキジブラザーやイヌブラザーが舞台上でどのように演出されるかも気になるところだ。
さて、観劇するにはまずチケットを確保しなければならない。
プレイガイドを開いて、チケットのバリエーションに驚いた。
"素顔の戦士"のときはたいてい先行抽選でチケットを購入していたので自動的に一般席に割り当てられており気づかなかったのだ。
一般販売で購入する場合、座席の位置も細かく選べるのも新鮮だった。
- 一般席
一番販売数が多い席。対象エリアが広いので同じ値段でも見え方はピンキリ。Gロッソは通路でもかっこいい演出が入ることが多いので、後方席でもヒーローが近くに来る可能性がある。特に中央の広めの通路はサブステージと言っても過言ではない。
- プレミアム席
ほかの席と比べて高額だが、中央ブロックの1〜2列目かサイドブロックの最前列が確約される。ブロマイドやクリアファイルなどの特典グッズもつく大きなお友達向けの席。
ファミリー向けには、暗転する演出の時でも「真っ暗にならない席」や「親子セット券」、「親子セット券+戦隊ランド利用券」などがある。園内のアトラクションに1回乗れる「アトラクション1回チケット付き」は大人でも嬉しいかもしれない。
また、このほかに「撮影会参加券」「握手会参加券」というのもある。それぞれ各公演の後に撮影会と握手会に参加できるチケットだ。
これは素顔の戦士のときにはないイベントである。
私はドンモモタロウのガワが好きだったので、ドンモモタロウにふさわしい人間になった暁に必ず来ようと思っていたら時期を逃してしまった。これだけは本当に心残りである。
SNSでも生神輿が話題になっていたこともあり、私がチケットをとる頃にはもちろんプレミアム席は埋まっていた。
最後方付近の席ではあったが、ともあれ私は文字通りドンブラショーへのチケットを手に入れたのだった。
Gロッソはその名の通り、天井も床も柱も赤い。
入口の看板がいつもより高く見えるのは、心が5歳児に戻っているからだろうか。
「ボディペインティング」「ポップコーンバケツ」「おなまえキーホルダー」…
"素顔の戦士"を観劇したときは自分は対象年齢じゃないからと、あまりまじまじ観察しなかった場所のすべてが今日は自分に向けて開かれている気がする。
一人だったら本当に5歳児のふるまいをしたかもしれない。友達が一緒に来てくれてよかった。
今は亡きGロッソ横のキャラクターショップ・東京宝島でドンブラザーズのペンライトを購入し、席に着く。
*2
前説替わりの映像が流れ、ワイヤーや奈落を活かした縦横無尽のアクションが繰り広げられた。
テレビ版と比べて声が低くて威厳マシマシのドンモモタロウ、かたやオニシスターは口調がやわらかめで、どつかれたときの悲鳴は「キャー」だ。「グエー」ではない。サルブラザーは赤いお尻を活かしたヒップアタックが印象的。
さっそうと現れて合流するブラックではないゼンカイザーや、ワイヤーで宙を舞うちょっと等身低めのキジブラザー。テレビより口が悪いイヌブラザーは、二人のキャストが演じることで膝立ちアクションでありながら舞台を縦横無尽に逃げ回るかに見える。
思えばドンブラザーズの名乗りを初めて聞いたのもこの時だった。
ダイナミックなアクションと、テレビとはまた異なる独特の世界観が、そこにはあった。
ヒーローの吹き替えもテレビ版のキャストとはちがう方が担当しているし、脚本はテレビシリーズと並行して作る以上どうしてもキャラクターの描写や人間関係に追いつけずブレる部分もある。
そこがなんか…すごくよかった。
ちょっとシュールでもあり、更にそれを包み込むようないい意味でのゆるさがある。
何より、いつもテレビ画面越しに応援しているヒーロー達の生のアクションの迫力は筆舌に尽くしがたい。
ショーは30分弱。小さい子がおとなしく座っていられる時間に配慮されているのだろう。
大きなお友達である私も、池田秀一さんみたいなトーンでしゃべるソノイや生神輿とにこやかな表情の担ぎ手たちに思いを馳せながら大満足で席を立った。
絶対、またここに来たい…
ところがGロッソの楽しさは止まることを知らず、会場の外にも広がっているのだった。
次回はGロッソの物販について書きたい。
ハートは5歳児、財布は成人のオタクがウキウキ買ったものの話とかをする。