いい最終回だった…(テレビを消す音)
見た者は強制的に縁を結ばされることから怪異の一種とさえ見なされていたドンモモタロウ率いるドンブラザーズが、鬼頭はるか大先生の手によってひとつの物語に収束していくエンディングは破天荒なスーパーヒーローにも得体のしれない怪異にも不思議とマッチする。
この最終回を見るまで、ドンブラザーズは私にとって「テレビ番組」ではなく「現象」であった。
なぜそうなったかというと……
という経緯を、ファイナルライブツアー千秋楽の5月末までのあいだ週に1本ずつ書いていこうと思う。
10年以上ニチアサを視聴しているにもかかわらず、初めて知ることがハチャメチャに多かったこの1年の記録だ。
「このサイトを見たな?!これでお前とも縁ができた!」
言わずと知れたドンブラ公式サイトのメイン画像に添えられているキャッチコピーである。
新戦隊に興味を持ってとりあえず公式サイトを開いた途端、まさかヒーローから強制的に縁を結ばれるとは思わなかった。
キャッチコピーは戦隊の有り様を端的に現すものだという認識と第三の壁を一度にぶち破ってくる破天荒さに、私の脳は揺れまくった。
そこには「応援よろしく!」「絶対見てくれよな!」といったこちら側への具体的なリクエストはない。ないからこそ、取り返しがつかない感じがした。
私が何をしても、しなくても、もう縁はできてしまったのだ。
例年とはちがう、異様なことが起きている。
ゼンカイジャーのドンブラゲスト出演回を観ても、キャスト陣お披露目生放送を観ても、全容がさっぱりわからない。せいぜいわかったのは、サングラスがキーアイテムになりそうなことくらいだ。
そう、サングラス。
私はこれにめっぽう弱い。二次元の記号としてサングラスを使われたキャラクターに私の人生は幾度となくめちゃくちゃにされてきた。良いことも悪いこともあったが、楽しかった。
もしかして今回もそうなのか………?
わからん。
こうして逡巡している間にゼンカイジャーが大団円を迎え、ついにドンブラの放送が始まってしまった。毎週Twitterで実況をしているが、初回と2話は展開についていくのに精一杯でろくろくツイートできなかった。逡巡は混乱に変わり、異様なことが起きているという認識が間違っていないことだけはわかった。
毎週日曜朝9:30から小一時間混乱する、ということをそこそこ受け入れた頃、通勤路のガチャポンコーナーに「それ」は現れた。
ドンブラザーズスイングである。
[http://暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドンブラザーズスイング|ガシャポンオフィシャルサイト:embed]
一回300円で、ボールチェーン付きのフィギュアが出てくる。ドンブラは一人一人のフォルムに個性があるのが楽しい。
色とりどりのガチャポン筐体のパッケージの中で、真っ黒に塗りつぶされたドンモモタロウのサングラスは一際目を引いた。いや、無意識のうちに目を向けていたのかもしれない。なぜなら、縁を結んだ相手だから…とはいえ、袖振り合うだけでも縁は縁。そこまで重く考えなくてもいいはずだ。
しかし朝に夕にドンモモタロウの前を通るたび、私は謎の焦燥感に苛まれた。例えるなら、ライブで舞台の上からコールされているのに自分がレスポンスを返せないまま時間が過ぎていくかのような…
一方で、呼びかけに応えたら相手がヤバイ怪異で取り返しがつかなくなったというオチの怪談は山ほどある。
今私が応えようとしているのは、果たして……
戦隊のグッズを買った経験がないわけじゃない。
でもあの時は好きという気持ちに確信があった。
今みたくなんだかわからない状態じゃなかった。
毎日こんなことを考えながら仕事に行っていた。
毎日考えてること自体もう取り返しがつかないじゃんと思い至った日、私は100円玉三枚を握りしめて家を出て、ガチャポンのハンドルを回したのだった。
次回はみんな大好きTDCのGロッソの話をする。
書くことが多すぎて複数回に分かれそうなので、3月いっぱいGロッソの話をしているかもしれない。