「おまけつき」
なんとも甘美な響きだ。これほどに人の心をくすぐる言葉もそうはないだろう。
今をさかのぼること400余年、江戸時代に国々を渡り歩いた富山の薬売りが薬につけた紙風船などの玩具が「おまけ」の始まりらしい。
その後仮面ライダースナックやビックリマンチョコなどの登場を経て、今や「おまけ」には同梱されているお菓子以上の価値が与えられた。
「食玩」である。
今回はドンブラの食玩「ミニプラ」を作ったときの思い出をつづっていきたい。
スーパー戦隊の花形といえば、やはり合体ロボだ。ドンオニタイジンに合体する時の賑やかさ、景気の良さはそう簡単に忘れられるものではない。
おもちゃ売り場に並ぶ巨大サイズは魅力的だが、飾ったりしまったりする場所をとるため大人には少しハードルが高いと感じてしまうのではないだろうか。
そんな大人におすすめするのが、食玩の「ミニプラ」シリーズだ。
「ミニプラ」はだいたい1ロット*1で全パーツが揃う、分割販売型のプラモデルだ。
建前上は「お菓子のおまけ」なのでお菓子本体として黄色いガムが一個付いてくる。
1箱あたり4〜500円で一見リーズナブルに思えるが、全パーツを揃えると3000円弱になるのでガンプラHG1箱分を少し上回る。お菓子売り場で買える割には大人向けの強気な価格設定だ。
完成すると、おもちゃ売り場で買える合体ロボのだいたい半分くらいの大きさになる。
小さいながらもディテールが細かく作られており、付属のシールは一部鏡面になっている部分もあり、貼るだけでかなり見ごたえのある作品が完成する。
ガンプラで培われたバンダイの技術力にリスペクトを禁じ得ない。
また、プラモデルには作る過程で自分なりのアレンジを加える楽しみもある。
付属のシールを貼らずにプラモデル用のマーカーで塗装してみたり、ホロやラメなどのネイル用品をワンポイント入れるだけでも楽しい。
こうした工夫を凝らした作品は、完成した時の喜びもひとしおだ。
私がドンブラのミニプラに手を出したのは、何かしたくてしょうがなかったゴールデンウイークごろのことだ。
春映画(ゼンカイVSキラメイ)に手ぶらで行くのが物足りなかったというのもある。
そのころ発売されたのが、ドンモモアルターのミニプラだった。
終盤こそあまり活躍の場がなかったが、序盤はタロウの魂(魂?)を宿しては敵の隙をつくなど小さい体躯を活かしてトリッキーな戦いを披露していたと記憶している。
完成すると、ちょうど劇中のサイズに近いものができあがるのはちょっとうれしい。
それにサングラスの部分をギラギラに塗装したらかっこいいだろう。
そんな思いで1ロット大人買いセットみたいなのを注文したら、かっこいい箱に入ったフルセットが届いた。
以前キラメイジャーの悪役ロボ・スモッグジョーキーの造形が好きすぎてミニプラに手を出した時は
周りの目を気にしつつもスーパーのお菓子売り場をはしごして全種類そろえたものだったが、大人には大人の買い方があるものだ。
開封してパーツとシールを見てみると、サングラス部以外にも塗装したほうがかっこいい箇所が見つかった。
胸のエンブレムだ。
ピカピカのシールを貼ることになっているが、エンブレムの段差もきれいに再現されているのでこれの上を覆ってしまうのはもったいない。
以前ネットで見た、メッキ調になるガンダムマーカーを試してみたい気持ちもあった。
また、サングラスのギラギラはネイル用のミラーパウダーを使うことにした。
だいたい方向性が決まったので、ランナーからパーツを切り離して組んでいく。
ミニプラは一応子ども向け商品なので、ニッパーなどの難しい工具がいらない。
この「パーツを手で切り離せるプラモデル」はダンボール戦機で初めて使われた技術だったと思うのだが、同作品で推しが死んだり、死んだと思ったら生きてたけど実は別人物のなりすましでやっぱり本人は死んでた、みたいなことがあったのでミニプラを組むたびにちょっと複雑な気分になる。
今でもいい思い出とさわやかに言い切れない部分もあるが、ドンブラと同じく忘れられない作品のひとつだ。
閑話休題、プラモデルのいいところはたくさんあるが、その一つは「正解」が必ず説明書に書かれていることだろう。
パーツとパーツを正しく組めたときのパチンという正解の音を聞くと不思議と心が穏やかになる気がする。
なお、ミニプラの説明書は箱の裏面に印刷されているので絶対に箱を捨ててはいけない。
変形させるときの手順も書かれているので、完成させた後も絶対に捨ててはいけない。
そんなこんなで完成したドンモモアルター
みどころは主に2つ。ミラーパウダーで玉虫色にしたサングラス*2と最新のガンダムマーカーでメッキ調にしたエンブレムだ。
ガンダムマーカーは本当にただのペンなのだが、塗るだけでこんなにツヤツヤピカピカになるにはめちゃくちゃすごい。改めてバンダイの技術力にリスペクトを捧げずにはいられない。
そんなちょっとしたこだわりをちりばめたドンモモアルターと一緒に春映画を観て、焼肉を食べたのもいい思い出だ。
ぬいぐるみのようなかわいらしいフォルムこそないが、劇中の原寸大に近いサイズ感でモノ撮りできるのは嬉しい。
ドンオニタイジンのミニプラもフルセットで手元にあるのだが、まだ開封もできていない。
さすが今回はおもちゃ売り場のを買おうかとさえ思ったくらい造形が好きすぎるので
きちんと向き合わなければと思えば思うほど開封が遠のいていく気がする。
ドンブラを「やりきった」と思ってしまうのが、まだ惜しいのかもしれない。
…とか言ってたら突然「あとのまつり展」開催が告知された。
帰ってくるのがはやすぎる!
それはそう!!!
ドンブラ最終回の翌週からFLTまで毎週更新を目標に10週にわたって何かしらの文章を上げてきたが、ついに来週はじめてFLTを観る。
最後の「初めて」の始まりだ。
思う存分楽しんできたい。